大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所大法廷 昭和26年(ク)127号 決定 1952年3月26日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人等の負担とする。

理由

抗告理由三、四について。

憲法には、法律に定めた上訴に執行停止の効力を付与すべきことを命ずる規定はなく又、憲法がその第六章において審級制度を予定し且つこれを前提としていることから、当然上訴に執行停止の効力を認めねばならないこともない。上訴に執行停止の効力を付与するか否かは、手続法上の立法政策の決するところである。従つて、「非訟事件手続法第一三二条ノ六によつて為された裁判に対し、同法第一二九条ノ四に基づいて即時抗告を為した場合には、同法第二一条によつて、執行停止の効力は生じない、」とした原決定の解釈は、憲法が審級制度を認めた精神に反する、と主張する本件抗告は理由がない。

その他の抗告理由は、原審の法律解釈を非難するものであつて、適法な抗告理由とはならない。

よつて本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 真野毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例